『獺祭元旦届け』が1年ぶりに届き、2011年が終わる。

普段から天才蔵元と思っているのが獺祭・桜井博志社長です。

良い山田錦だけを使い、必ず50%以上磨き、酵母は9号のみ、純米大吟醸だけを造る。酒米の出来や、気候など、毎年異なるコンディションの中、シンプルにできるところはシンプルに、そして最良にする。それが酒造りの技術を向上させる早道とおっしゃり、実践もしている。

その結果、今年の6月には獺祭は年間1万3千石の生産量!恐るべし天才。

その桜井社長が2011年末TV番組「ほこたて」に出演しました。誰が飲んでも見分けられない水を生む浄水器と、どんな水でも飲みあてる酒の造り手の対決です。三菱レイヨン vs 獺祭。結果は見事、桜井社長の勝利でした!

飲見分けると言えば、生酒なのに一飲して火入れ酒のような風味に戸惑うのが、白隠正宗・駿東山田錦純米生原酒。目隠しで飲んだら、生原酒と見分けられないかも。抜(あ)け立てはほとんど生っぽさがない。生酒の角だった味わいや儚さ、生独特の濃密な香りがほとんどなく、しっかりと地に足が着いて落ち着 いた、良い意味での枯れて丸い個性がある。 それなのにもちろん、若々しいフレッシュ感、もろみの雰囲気もどこか微かに漂っている。不思議な生原酒です。

白隠正宗の蔵元杜氏・高嶋一孝さんも天才的鉄人。その飽くところを知らない酒造りへの興味と、研究と実践から生み出される珠玉の酒の数々。その1つがこの駿東山田錦生原酒です。

「私が生酒嫌いだから、こういう酒質になるんだと思います(笑)」と高嶋さん。テクニック的には、最近はやりのグルコースを多く出すタイプでない、昔ながらの麹を使い、辛口に仕上げてから大吟醸斗瓶取りの要領で搾った酒の沈殿したオリを再びかきまぜるそうです。「ワインのシュール・リーの様な考え方」

シュールリーというのはなんぞや?

調べてみました。ワイン造りの伝統的な技法の1つで、訳すと「澱の上」という意味。ロワール川河口付近のナント地域で造られるミュスカデというワインの造り方です。高嶋さんは山梨のワイナリーでこの造り方を聞き、「これは斗瓶取りだっ!」と思ったとか。ワインのシュール・リーは味わいに深みや幅を与えますが、高嶋方式では渋い辛口の酒に口当たりの良い甘味を与えます。そのため、生原酒でありながら、浮ついたところのない落ち着いた味わいに。温めれば、生原酒の燗とは思えない、まったりと滑らかで、艶やかな風味ある、粋な燗になる。「少汲み水」といい、この生原酒といい、高嶋一孝さんの造りからは本当に目が離せません。

DATA
酒米 駿東山田錦
精米歩合 65%
酵母 静岡酵母NEW-5
アルコール度数 17度

 

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